School Days<最終話>

クリスマスの夜。 誠と言葉が雪の降る街を歩いている。 言葉は「寒いな」という誠の手を取って、自分の胸に当てさせた。
そのころ、誠の家では、世界がクリスマスディナーの準備をしていた。 しかし、なかなか戻ってこない誠に苛立ちを隠せない。  携帯を取り出し、誠に電話をかける。 電話に出た誠は、どうしても外せない用事が出来てすぐには帰れないと言う。 電話を挟んで、世界と口論を始める。  「嘘・・・ 誠、誰と会っているの? また浮気? ちゃんと説明してよ!」と世界に問い詰められ、口ごもる誠。 「自覚持ってよ。 誠、本当に何も分かっていない・・・」と世界は自分の下腹部に手を当てながら言う。  「わたしのお腹には、誠の子供だっているのに・・・」  「・・・言葉は、そんなこと言わないのに・・・」と呟く誠。 この状況で、言葉の名前が出てきたことに、世界が驚く。 「誠。 まさか・・・そこに桂さんが居るの? 誠!」  「・・・なんで子供なんか作ったんだよ! なんであんな事をみんなの前で言うんだよ!! いきなり、子供なんて言われたって、どうしたらいいか分かんないよっ! もういいから帰ってくれ!」と誠が怒鳴り一方的に電話を切った。

座り込む誠に、世界からメールが届いた。 ”ごめんね。 もう帰る。” そこへ、言葉が近づいてきた。 じっと、誠を見下ろす言葉。
帰りの電車の中、言葉はずっと無言のまま誠の腕を抱き寄せていた。 そんな様子を、偶然、反対ホームにいた世界に見られてしまった。 誠は言葉を連れて家に戻ると、キッチンには世界が作った料理が床一面にまき散らされていた。  それを見てため息を付く誠。 「・・・一緒に食べたい、か・・・」 さっきの電話の口論で、世界が自分で作った料理をまき散らして帰っていったことに気づく誠。 誠は、掃除をしながら、最初に世界や言葉と出会った頃のことを思い出していた。  <最初は、隣に座るだけで緊張していた・・・ 一緒にお昼を食べるだけで嬉しかった・・・ それが、いつからか・・・抱きしめたいって、もっと・・・> 

そのとき、玄関のチャイムが鳴った。 誠が言葉が待っていた部屋に戻ると、言葉が居ない。  玄関に向かうと、世界が戻ってきていた。 言葉の顔を見るや、頬を叩く世界。 「なんで桂さんが出てくるのよ! なんで桂さんと一緒なのよ! 帰って。 もう誠につきまとわないで!」と声を張り上げる。 なんとか、世界を落ち着かせようとする誠。  「もう桂さんとは別れたんじゃないの? 子供が出来たら、今度はわたしを捨てるの?」と誠に言い寄る世界。 返答に困る誠。 「自分からしたんじゃないよね? 桂さんが何かしたんでしょ?」と世界。 「言葉は・・・何も・・・」と口ごもる誠。  「嘘! あなたが誠を誘惑したんでしょ! 出てって!!」と今度は言葉に言い寄る世界。 
「誠くんを誘惑したのは、西園寺さんのほうじゃないですか・・・ 誠くんとわたしを引き離そうとして、あんなことを・・・」ずっと俯いていた言葉が口をひらいた。
そして、言葉は、刹那と誠のことを話し始めた。 「知らなかったんですか? 清浦さん、誠くんのこと、好きだったんですよ・・・」 驚く世界、一気に顔が青ざめる。 「いい加減なこと言わないで。 刹那は、わたしの親友なんだから・・・」世界の声が震える。 
言葉は、誠の方に振り向き、「わたしは寛容ですから、それくらいのことは許してあげます。」 そして、誠に寄り添い、「だから・・・もう、迷いません」と言い、世界の前で濃厚なキスをし始める。 「・・・やめてよ・・・」 硬直する世界の前で、 お互いの舌が絡み合う音が響く。 蒼白の世界は、顔を覆い絶叫する。 

完全に躁鬱状態の世界は、その帰り道、刹那のことを思い出していた。 入学当初の明るい思いでが、一変して暗い陰鬱な事実を突きつけられてしまった世界。  記憶の中の刹那の顔が見えない。 顔を仮面で隠した刹那が、世界を追い込む。 「偽善者。 じゃ、どうして世界はあんなことをしたの?」 そして、仮面を外した刹那の絶望的な表情に絶句する世界。 「違う・・・ 誠は、わたしが良いって言ってくれた。。。」蹲る世界。 

翌朝、世界に携帯に誠からメールが入っていた。 ”言葉が知り合いの病院を紹介してくれるって言ってる。 早い時期の方が身体の負担が少なくて良いって話だから・・・” それは、世界に中絶を迫る内容だった。

誠は、恐る恐る、教室に向かう。 そっとのぞき込んで、世界が居ないことを確認し、安堵のため息を付く。 
昼休み、屋上で言葉とランチをする。 「これからはずっと、言葉とこんな時間をすごしたい」と言葉の作ってきたサンドウィッチを食べながら言う。 「俺、もう、言葉しか見えないから・・・」

その日の夕方、誠は世界を家に呼んで、病院での結果を聞いた。 「で、どうだって?」 しかし、世界は無言のまま。 しばらくして、お茶を入れると言い、立ち上がった。 キッチンに向かう世界。 その背中を目で追う誠。  「やっぱ世界の思いこみだったのかな・・・あの様子じゃ・・・」と誠が呟く。 キッチンでは、自分が作った料理が無惨にゴミ袋に捨てられているのを見つめる世界。 そして、ポケットから携帯を取り出した。  リビングで待っていた誠の携帯が隣の部屋で鳴った。 それに気づいて、立ち上がる誠。 誠の携帯には、世界からのメールが届いていた。 
ごめん と書かれ、ずっと長い改行が続く・・・



”ごめん








さよなら”



そして、改行の最後に さよなら と・・・
そして、振り向くと、包丁を誠に向けて世界が立っていた。 そのまま、誠の腹部に突き刺す。 「酷いよ。誠!」 そして、倒れ込む誠に馬乗りになり、誠に何度も刃を突き立てる。 「自分だけ桂さんと幸せになろうなんて!!」 
「・・・世界・・・」と誠の最後のことば。 目を剥き出し絶命した誠の姿に、我に返った世界は、その場から後ずさりし、逃げ出した。

そして、言葉は、変わり果てた誠の姿に、ことばを失う。

自分の部屋で蹲っている世界。 そこへメールが入る。 ”名前: 伊藤誠 | 屋上で待ってる”

世界が屋上に向かうと、いつものベンチにカバンが置いてあった。 ベンチに近づくと、背後から言葉の声が聞こえた。 
言葉:「病院、行きましたか?」 振り返る世界。 
世界:「・・・行ってない。」
言葉:「どうしてですか?」
世界:「あなたに紹介してもらった病院なんて、行かない!」
言葉:「嘘・・・だからですよね・・・ 誠くんの気を引くために、赤ちゃんが出来たなんて嘘を付いたんですものね」
世界:「違う! わたしは、本当に・・・」
言葉:「だったら、ちょんと病院で見せられるはずですよね? それに、西園寺さんが彼の子供を産めるハズがないじゃないですか・・・ 誠くんの彼女は私なんですから・・・」
世界:「私だって、誠の彼女になりたかった! それなのに・・・ なんで、 どうして・・・」と涙を流す世界。
言葉:「・・・誠くんなら、そこにいますよ」 言葉がベンチに置かれたカバンを指さす。 「聞いてみたらどうですか?」

カバンのチャックを開ける世界。 そして、その中身を見た瞬間、呼吸が乱れ、嘔吐する。
言葉:「西園寺さんの言っていること・・・ 本当かどうか、確かめさせてください」
そういうと、血の付いた鋸を取り出し、世界に近づく。
世界は自分のポケットに隠し持っていた包丁を出す間もなく、世界の頸動脈を言葉が挽いた鋸が切り裂く。 血が噴き出し、白目を剥いて卒倒する世界。  そして言葉は、世界の下腹部を切り裂き、手を突っ込んでかき回す。 大量の血が辺りに広がる。 
「・・・やっぱり、嘘だったんじゃないですか。 中に、誰もいませんよ。」 と切り開かれた下腹部を見下ろしながら、言い捨てる。

翌日、言葉は誠との約束した通りに、ヨットで海にいた。  甲板で横になる言葉。 
「・・・やっと、二人きりですね。。。 誠くん・・・」
胴体のない誠を抱きしめながら、安らかな表情の言葉が、幸せそうに話しかけた。



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AT−Xのキャプ「中に誰も居ないじゃないですか・・・」





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