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ANIME REVIEW LETTERS
タイトル・サブタイトル・放送日時
BLACK LAGOON the second barrage
BLACK LAGOON
the second barrage
#13/2006-10-04
<The Vampire Twins Comen>
ねーねー 僕たちと遊ぼうよ。 ねぇ、おじさん、遊ぼうよ。  天使を呼んであげましょう。 天国は良いところだって言うじゃない?  お洋服を取り替えているの。 血が乾いちゃって、膠みたいになっちゃって、もう着れないわ。  面白いわよ。 頭に釘を打つと、魚みたいに痙攣するの。 息が止まってからもまだ動くわ。 脊髄反射って言うらしいけど。 いずれ殺ってしまえば良いわ。

次回 Bloodsport Fairytale




BLACK LAGOON
the second barrage
#14/2006-10-11
<Bloodsport Fairytale>
着替えた?姉さま? さぁ兄さま・・・姉さまになって。 もう、ここには戻ってこないわ。 行きましょう。
うふふ。 二人で決めたのよ。メインはボルシチ、スタートはマカロニから、ってね。
5000バーツで身代わりが作れるなんて安いものね。  でも、ちょっと可哀想だったかしら。 孤児だって言っていたわ。  でも、殺すか殺されるか・・・ だから殺しましょう。
質問しても良いかしら? 私たちの首には、いくらの金がかかっているの? 8万$、良い額ね。 でも今ここに10万あるの。  これで見なかった事に出来ないかしら?  まだまだやりたいことがあるの。 じゃ、15万。 

次回 Swan Song at Dawn




BLACK LAGOON
the second barrage
#15/2006-10-18
<Swan Song at Dawn>
「15万$・・・なのに?」グレーテルが上目遣いで、金と引き替えに自分たちに会わなかったことにして欲しい唆す。 しかし、交渉は決裂。 エダがトリガーを引き、グレーテルもマシンガンで撃ち返す。  ヘンゼルは、斧を取り出し、振りかざす。 その時、バラライカの部下が騒ぎを聞きつけ、乗り込んできた。 マシンガンで双子を物陰においやる。 自分の獲物捕獲を邪魔された、エダが逆上するが、 仲間のレヴィが止めるように叫ぶ。 双子は、「出たよ。姉さま。ホテルモスクワだね」とマシンガンで応戦する。 「ねぇ。ロシア人達を混乱させるんだ。 適当に散らばせれば、きっと本部に帰るよ。」とヘンゼルが言う。  「そうね。 別れてロシア人達を追いつめましょう」とグレーテルも同調する。 別れ際、軽くキスを交わし、グレーテルは窓を割り建物の中に消え、グレーテルは、マンホールから地下に消えた。
その現場から、標的の双子をロスとしたことの報告を受けバラライカ。 バラライカは、公園の噴水の縁に座り、部下に作戦の続行を命じた。 しばらくして、「標的2を捕捉」という無線が入る。  ホテルモスクワの作戦は、相手が優位にあると思わせておきながら、罠にハメるタイプだった。 「部下には、マフィア流を徹底させます。 まもなく、公園正面です。 そこで、一撃をくわえます。」とバラライカの側近が状況を説明する。  「攪乱し、血を上らせることに集中しろ。 血が上れば勘が鈍る。 そこが展開点だ。」と葉巻を吹かしながら時計を見るバラライカ。 時間は午前2時。 そして、バラライカは、側近を自分の元から離れさせる。  「さて、このくだらんランチキ騒ぎも、終わりにしようじゃないか・・・」と呟く。
一方、獲物を取り逃がしたエダとレヴィは、愚痴を言いながら歩いている。  「取引に乗っていれば良かったんだよ。 いらねぇ欲、かきやがって・・・」と手ぶらじゃ教会に帰れないと言うエダ。  「てめぇをホテルモスクワの弾から逃がしてやったのは、誰だと思ってるんだよ!」とキレるレヴィ。  「タマなんて、産まれたときからねーんだよ。 この猿野郎。ばーか」 「上等だ。抜けや!」 「お前のケツにもう一個穴が増えて、おもしれーやw」 と言うものの、ショボーンなふたり。 そして、レヴィは、そそくさと先に行ってしまった。  置いてけぼりを喰ったエダは、中指をたて、悪態を付く。 すると、背後から、「はーい。 お姉さん。」と隠れていたグレーテルが現れた。 「いつからそこにいやがった?」とエダが振り返ろうとすると、 後頭部にマシンガンの銃口が向いている事に気づき、おとなしく両手を挙げる。 「兄さんがロシア女を殺したら、高飛びしないといけないの。 でも、手引役のベロッキオは殺してしまったわ。」 「でも、バラライカにはもう切りはないはずだ。 それなのに、なぜ殺す?」と聞くエダ。  それを聞いて、笑いをこらえず声を出して笑うグレーテル。 「どうして? そんなことに理由は無いわ。 そうしたいから、殺すの。 そんな事は、どうてもいいの。 ねぇ、教えてよ、お姉さん・・・」と後ろから、エダの胸をまさぐるグレーテル。
「隠れることは無いわ。 でてらっしゃいよ。」 朝になり、葉巻に火を付けると、バラライカが、木陰に身を潜めていたヘンゼルをおびき出す。  「気づいていたんだね。 優秀だね。 おばさん。 で、どうする?おばさん。 せっかくだから、お話でもしようか・・・ 僕たちが殺したあの男の話とか」と良いながら、バラライカに近づくヘンゼル。  「普通ならすぐに死んでいたのに、だいぶ頑張ったよ。 最後まで、叫んでた。 大尉〜 大尉〜って。 血の泡を吐きながらw」と楽しそうに話すヘンゼル。 「へぇ・・・そう」とバラライカ。  「冷たいな。おばさん。 でもね、おばさんも、あの男のようになるよ。 あまり時間が無いのが残念だけど・・・」そういうと、斧を取りだした。 「坊やには悪いけど、あなた、ここでお終いなのよ。 でも、その前に、"おイタ"の事、謝って貰わないと。 ねぇ坊や。 とりあえず、そこに跪きなさいよ。跪け!」とその瞬間、ヘンゼルの右膝をライフルが貫通する。 膝が崩れ落ち、地面に倒れるヘンゼル。 斧を取り、バラライカに投げようと腕を振り上げた瞬間、再びライフルの音ともに、腕が吹き飛ぶ。  「お終いなんだよ。坊や。 もう少し理性が働けば気づいたはずなんだよ、自分がエサ場に飛び込んでいることに。」 ヘンゼルが当たりを見回すと、ビルの屋上に、スコープの反射光が光っていた。  「結局お前は、どうしようもなく壊れた糞ガキのまま、ここで死ぬんだよ。」 「ふふふ。 おかしいや。 何言ってるの? ぼくは死なない。 こんなにもいっぱいの人を殺してきたんだ。 いっぱい、いっぱい・・・ <いっぱい、いっぱい> それだけ<生きることが出来るのよ> 命を増やせるの・・・ <私たちはnever die> そう、永遠なのよ」とヘンゼルが力を振り絞って訴える。  「それがお前達の宗教か。 すばらしいな。 だが、正解は歌にもあるように、"No one lives forever" さて・・・ 私は、お前を酷く攻めないで殺しても良い。 部下のことを考えれば 釣りの上に特典がつく。 だが、私はお前のように下品ではない。 だから、私は、お前が死ぬのをただ眺めることにする。 その銃創では、保って10分。。。 お前が死んでの数分後、サハロフ メニショフ両名の鎮魂に当てる。 ま、お前には、理解できんだろうな・・・」静かにバラライカが言う。  涙を流し、呻くヘンゼル。 当たりに血が流れ出し、そして、動かなくなった。 「・・・軍曹。 こちらは片付いた」と無線で伝えるバラライカ大尉。 「すまん。わたしのわがままにつき合わせてしまった。 年かな・・・ 少し、少し疲れた・・・」そう言ってため息を付くバラライカ。

海の上のクルーザーに美しい歌声が響く。 「良い歌声だな。 イカれた殺人鬼とは思えない。 歌声だけは、天使か・・・」 グレーテルが、歌っている。 「まさか、アイツが依頼者になるとはな・・・」とダッチとベニーがクルーザーを操縦しながら話をしている。  そして、レヴィは、グレーテルと一緒にいるロックの護衛の為に、キャビンの前にで銃をかまえている。 
「綺麗な歌だね? どこで覚えたの?」とロックが聞く。 「テレビで見たの。 でも、兄さまの他に聞かせたのは、お兄さんが初めてよ。」と言うと、嬉しそうにロックの膝の上に乗ってきた。  「お兄さんは別の人みたいね。 わたし、いい人を見分けるのも、上手いのよ。」とロックの目を見つめて言うグレーテル。 一方、バラライカからダッチに連絡が入る。 お互いの立場の確認だった。 クルーザーには、ベトナム海軍の戦艦が近づいてきた。  これもホテルモスクワの回したモノだ。 さすがホテルモスクワだ、と感服のダッチ。 地図を広げて、迂回ルートを探す。 
「あーあ。海。 せっかく、海に来ているのに、見ることが出来ないわ・・・」とつまらなそうに足をぶらぶらさせているグレーテル。 「ごめんね」とロック。  「いいわ。慣れているから。 シチリアにいたときも、その前の孤児院に居たときも、見ていたのは灰色の壁ばっかり。 生まれたのはカルパチアの岩山の中。 いつも曇ってばかり・・・」自分の生い立ちについて話し始めたグレーテル。  かつて、ルーマニアの独裁指導者・チャウシェスクは、国民に妊娠中絶を禁じた。 貧しい祖国に労働者を作り出すため。 しかし、貧しければ、育てることもできなかった。 大量の孤児は、孤児院に入れられ、秘密警察の要員供給源となったが、チャウシェスクは公開処刑され、孤児だけが残った。 「シチリアに移ってからは、血と闇の毎日。 死ぬほど蹴られて、真っ赤なおしっこが夜通し止まらないこともあったわ・・・  兄さまとはよく話していたわ。 どうして、神様は私たちにこんなにも辛く当たるのかしら、って・・・ でもね、気づいたの。 私たちより先に連れてこられた子供達が泣いていた。 その子たちをバットで殴って、大人達は笑っていた。 私も兄さまも笑っていた。  わらいながら思ったの・・・ これは仕組みなんだって。 そう。誰かを殺すことで世界が回っているのなら、私たちがここに居る理由も、またそれだけなの。」そう言うと、再び、ロックの膝の上に座るグレーテル。  「殺し殺され、また殺して・・・」 「その為に、お兄さんが死んで、悲しくはないのかい?」とロックが聞く。 「何言っているの?」と言うと、グレーテルが長髪のウィッグを外すと、ヘンゼルの声に変わり、「ぼくは、ちゃんとここにいる。 ずっと姉さまと一緒にいる。 だって、ぼくたちは永遠に死なない。 僕たちはリングの上で殺し、これからも殺すために世界があり、みんながが居て、ぼくらが居る・・・ だから、ぼくは悲しくないんだよ。 血の臭いも、悲鳴も、臓物の温かさも、今は大好きでいられる・・・」  それを黙って聞いていたロックは、たまらず、少年を胸に抱き、手に持っていたウィッグを付けさせる。 「違うんだ! 世界は君を幸せにするためにあるんだよ。 血と闇なんて、ほんの欠片でしかないんだ。 全てなんかじゃないんだ!」とロックが言う。  グレーテルにもどった少女は、「泣かないで、お兄さん・・・」と言い、腕から離れる。 「あなたのような優しい人は初めてよ。 だから・・・」そういうと、自分の下着を取り、スカートをめくり上げ、「お礼・・・」と言って、自らの恥部をロックに晒す。  ロックは口を覆い、慌てて、甲板に飛び出した。 血相を変えて、ロックが飛び出していったのを見たレヴィは、グレーテルの所に行き、一発殴った。 「おめぇみたいなヤツでも、血は赤いんだな。 姉御だけじゃなく、お前も逝かなかったのは残念だよ。」とレヴィがタバコに火を付けながら言う。  「私とあなたは同じ臭いがするわ。 血と、ゴミの腐敗した臭い。」とグレーテルが言う。 「んなことは、どーでもいい。 もういちど、アイツをからかったら、殺す。 同じく、わたしに不愉快な思いをさせてもだ」
甲板でロックは、「なんで、寄って集って、あの子を虎に仕立て上げてしまったんだ!」とぶつける当てのない怒りで叫んでいる。 そこへ、ベニーが近づき、「ここでは、ああいうものを、直視しては行けない」と言う。 「あの子を養うか? あの子は、殺しは止められない。 だれかが、優しく手を差し伸べ、学校へ行って友達でも作っていれば、変わっていたかのしれない。 だから、この話は、ここでお終いなんだよ・・・」 それを聞いて、自分の無力さに返す言葉無く項垂れるロック。

港に到着し、黒い帽子を被った少女が舟から ぴょんと 飛び降りる。 「お兄さん! またいつか! またいつか会いましょうね。 今度は、ランチバスケットをもって」とグレーテルは振り返り、ロックに言う。 「そいつは、素敵だ。 本当に素敵だ・・・」  次の瞬間、一発の銃弾がグレーテルの頭部を貫通した。 その場に、崩れるグレーテル。 「綺麗だわ・・・空・・・」 見開いた目は、空を見つめ、そして動かなくなる。 ホテルモスクワに雇われた殺し屋が、撃ち抜いた。

仰向けに倒れているグレーテル。 それを見て、ダッチはロックに、死体に被せるためのカンバスを持ってくるように言うが、ロックは断った。 
「いいんだこのままで・・・ 青い空を仰いで、海を眺めて眠るんだよ・・・」

一人、暗闇の海岸を歩く少女の足。 そして朝日が昇り、足跡が二人分に・・・ その先に、手をつなぎ、海を見つめる、姉兄が居た。

 

次回 Greenback Jane




BLACK LAGOON
the second barrage
#16/2006-10-25
<Greenback Jane>
「わがままを言って困らすなよ。でも、物事には期限という物がある。 何も、造幣局を騙したいとは思っていない。 俺たちは、お前たちの趣味に付き合うほど暇じゃないし、金を払えるほどリッチでもない・・・ 48時間以内に、いい仕事をしてくれよな。。。」
ジェーンはスキを見て逃げ出した。 逃げ出した先は、エダ嬢の教会。 エダはレヴィと酒を飲んで、愚痴の言い合い。 そんな時に、追われてきた少ジェーンは、教会のドアを叩いた。  渋々、ドアを開けるエダ。 「神様はいないよ。 休暇を取って、ベガスに行ってる。」 それでも、食い下がらないジェーン。 「信じられない! あんたそれでもシスター?」 その時、追っ手が追いつき、 いきなり銃を撃つかます。 銃弾は、教会のドアを貫通し、奥で、ウィスキーを頃がしていたレヴィのグラスを突き破った。 「さぁ、ジェーン。帰るよ。 尼さん、その女に話があるんだ・・・」とエルビスが言う。  そこへ、ブチキレたレヴィが加勢する。 銃を乱れ撃ち。 「それ張りの覚悟をして貰うぜ!」 車の後ろに隠れるエルビス。 そして、両手を上げて降参を示すが、怒りの収まらないエダ。  「教会にブリット撃ち込んで、生きて帰れると思うなよ!」 そして、シスターが金色のマグナムを持ってやってきた。 仕方なく、エルビス一味は逃げていった。  「これの修理代は誰もちだい? 金ばっか出ていくね・・・」とシスターがため息を付く。 
ジェーンが、なぜ自分が追われているのかを説明を始めた。 ジェーンは、旧ドル札の偽造をしている。 それのおかげで、追われているという。  そして、ジェーンの偽札偽造技術とレクチャーが始まった。 「へいへいへい。 話の途中で悪いんだけど、その話、どこが終わりなんだ?」とエダが聞く。  そんなエダに、ジェーンは、2枚の紙幣を取り出した。 品定めをしろ、ということ。 まんま罠に引っかかるエダとレヴィ。  そして、本題に入る。 ジェーンは完璧な偽札を作るために、奮闘していたが、それにキレたエルビス一味が期限や資金を理由に、大切なメンバーの腕を撃ち抜いてしまった。 それに逆ギレしたジェーンは逃げ出したという事。  そんな話を聞いて、エダとレヴィは、「そんなのお前が悪い。 ルールはルールだ。」  「しかし、あんたは運がいい。 目の前にいる女は逃がし屋だ。 その原盤を代金として、受け取ろうじゃないか。」とシスターが口を開いた。  しかし、ジェーンは不完全な物は置いてはいけない という。 さらには、逃走費用とは別で3万ドルで買い取って欲しいと言い出した。 「買わねーよ。 勝手に、おっ死ねや。」とレヴィ。  そのに言葉に、ジェーンは鞄を持って出ていこうとした。  「ちょっと待て。 今出ていったら、寝る間もなくケツにあたらしい穴があくぞ。 良いホテルを紹介してやる。 出ていく前に、そこの盆に300ドル、置いていきな。」とエダがジェーンにモーテルを教えた。 
ジェーンが出ていくと、携帯をとりだしたエダが、ジェーンの居場所の相場を聞き出し、情報を流した。 そして、その情報を元に、エルビスは、一人頭1000ドルの報酬で人を集める。  エダとレヴィは、ロックの車で、薄暗い路地に待機していた。 「ここで待っていれば、俺たちにおいしい事が起きるんだよ」とエダが言う。 「なんか卑猥な響きが・・・」と心配げなロック。  ジェーンが眠りについた頃、エルビスに雇われた処理屋の軍団がモーテルに近づく。
 

 

次回 The Roanapur freakshow Circus




BLACK LAGOON
the second barrage
#17/2006-11-01
<The Roanapur freakshow Circus>
街の入り口には、ハンギングロープが括られている。 それは、底を潜った者は、命知らずの烙印が押される。 世界中の悪党が集まる邪悪の都。 この世の果て。 矛盾の坩堝。  行きながら既に魂を地獄に送られてしまった人間たち。 そして、今、この街に紛れ込んでしまった、生贄がいる・・・
ロック・レヴィ・エダが、路地裏で待ち伏せをしている。 「ざっと、1万ドルの獲物だよ」とご機嫌なエダ嬢。 「どーせまた、撃ち合いなんだろ?」とあまり乗り気ではないロック。  「さぁて、良い頃合いだ。 たったおま、このロアナプラで起こっていることをお話ししようかい」とエダが話を始める。 場所はランサップ・イン。 あのインド系の偽造紙幣女ジェーンに紹介したモーテルだ。  そこで起きていることはこんな感じ。 悪党どもは、女の泊まる隣の部屋を突き破る。 その音に驚き飛び起きるジェーン。 実はエダが流した情報は、ジェーンの泊まっている隣の部屋。  ジェーンは確かめようと廊下に出る。 しかし、ジェーンの泊まっている部屋は、防火壁の向こう。 悪党どもも防火壁の向こうに部屋があるとは、思ってもいない、と思われる。  普通は、防火扉を閉じる。 悪党が扉を開けるまでのタイムラグができる。 そして、悪党が部屋に飛び込んだ頃には、すでに蛻の殻・・・ という魂胆だ。 「んなに上手くいくか?このボケナスが・・」と呆れるレヴィ。  「んーなことはない。 ちゃんと仕込んであるんだよ。 あのベッドに一度でも大の字で寝転がれば・・・」 天井には、<ESCAPE FROM DEATH ↑>の貼り紙。 「それって、便所の落書きと発想が同レベルだ・・・」とロックも呆れる。  LOOK UP(上見て)→ LOOK DOWN(下見て)→ JACK ASS(大マヌケ)ってヤツだ。 そのあとは、案内を見ながら逃げれば、良いって訳だ。 エダのトンデモ物語を聞いて、呆れて車を動かし出すロック。  「7回中4回は成功してるんだからさぁ」とエダが絡みつく。 その時、前から、ジェーンが走ってきた。 「見ろ見ろ見ろ!」とエダ。  「よぉ姉ちゃーん。 こんな夜中にジョギングかい? どーうだい?助けて欲しい? どーしても原板渡したくないというのなら、仕方ないぃ。 今度は、モスクにでも、逃げ込むんだねぇ」とエダが言う。  結局、エダの条件をのむジェーン。 そこへ、悪党たちも追いついた。 悪党がよろしくやろうと声をかけてきたが、エダが先に銃を撃つ。 そして、結局”撃ち合い”が始まってしまった。  悪党たちも、腰が引けてしまった。 一人頭1000ドルではなく30000ドルが条件だという事になった。 
ロックの車は、港に向かって走っている。 船で逃がそうと考えているエダだったが、ロックが「エダ・・・ 船はない・・・」とボソっと言う。 「おいおいおい。話が違うじゃないかよぉ」とまた絡んでくるエダ。  船は、荷受けのために外に出ていた。 ラグーン商会の事務所で酒を飲ませろと足を組むエダ。 無線で、船に連絡を取り、取引を取りやめて急遽戻ってくることになった。  悪党どもも、続々とラグーン商会に集まりだした。 ドアに忍び寄り、マシンガンを撃ちまくり、ドアを破ると、 「こんばんは、が抜けてるぜ。 このド阿呆が」とレヴィとエダが悪党の頭に銃口を向ける。  一気に銃撃戦が始まる。 悪党たちも、銃やマシンガン、チェーンソーで襲いかかる。 ロックとジェーンが、チェーンソー女に襲われている。 スキを見て、逃げ出したジェーンの先手には、火炎放射器を持った男がいた。  そして、一気に火に追われることになり、事務所に逃げ戻ってきたジェーン。 そして、ロックとジェーンは、屋根に逃げた。 そして、事務所にも、煙が充満してきた。 
屋根の上。 ジェーンとロックが居る。 「どうするのよ・・・」と問うジェーンに「考え中だ。」と答えるロック。 
「もう上はないのよ。」「考え中だ。」
「祈って祈って、金の鎖でも降らせてみせるの?」「黙れ。考え中だ。。。」




次回 Mr.Benny's Good Fortune




BLACK LAGOON
the second barrage
#18/2006-11-08
<Mr.Benny's Good Fortune>
屋根の上に追い込まれたロックとジェーン。 下からは炎が迫る。 事務所では、エダとレヴィがシェンホワを追い込もうとするが、シェンホワの縄がエダの首に巻き付き自由を奪う。  「陽動作戦、成功あるね? 聞こえてるあるか、阿婆擦れ。 尼さん見捨てると、地獄堕ちるね。」とシェンホワがエダにナイフを突きつけて、おびき出そうとしている。  「待て待て! 話を聞け。 尼さんを殺すと、地獄に堕ちるんじゃないのか?」とエダ。 「わたし、道教ね。 あなたの宗教関係ないね。」と言って、ナイフを振り下ろそうとするシェンホワ。  しかし、「地獄の直行便は足が速いんだ。 後ろを見てみろ」とエダが言う。 その瞬間、シェンホワの背後のガラスが割れ、レヴィが銃口を向ける。 
そのころ、屋根の上には、チェーンソー女が迫ってきていた。 ロックの計画では、女を屋根が腐れている場所を歩かせることで、下に落とそうというもの。  「つかまえた・・・」 女が拡声器を喉に当てて、ほくそ笑む。
ベニーとダッチは、クルーザーで港へ急いでいた。 双眼鏡で見てみると。事務所が燃えあがっているのが見えた。 「おいおいおい」と焦るダッチに、「どうした? 核攻撃にでも遭っているのか?」と聞くベニー。 
不意を付かれたシェンホワは、銃弾を避けられず、撃ち落とされる。 そして、屋根の上では、チェーンソー女がご機嫌そうに、演説を始めた。 「いつもは、解体ばっかり。 でも今日は違う。 今日は、殺さない。 でも、腕の1本や2本はちょうだい。 じゃ、はじめましょ。 大丈夫。 わたしだって、のど頸掻き斬られたけど、生きてるから・・・」  そう言って、近づいてきた。 その時、下でガソリンに引火して、爆発の衝撃が走り、チェーンソー女の持っていた拡声器が屋根から転がり落ちてしまった。 そして、女は変な脂汗をかきはじめ、 その場で固まってしまった。 チェーンソーを投げ捨てると、蹲ってしまう。 そこへ、エダとレヴィが登ってきた。 蹲っているチェーンソー女をみて、不思議がる二人。 「ロック。 お前、何やった?」「欝の気が強いんじゃないのぉ? 前に見たことあるぞ。 こういうヤツ」とレヴィとエダが呆れる。  しかし、建物が崩壊し始めていることに気づいてしまった。 ヤバくなってきた、ラグーン商会のメンバーとエダ嬢。 屋根の崩壊とともに、滑り落ちる。 その様子をクルーザーから見ていたダッチが「くそっ。 倒壊した」
とりあえず、生きている。 そして、クルーザーも着岸しそうだ。 桟橋に向かって走る。 それに気づいた悪党も追いかける。 しかし、何人かが、船に乗り込んできてしまった。  ロックとジェーンは、船の中に隠れる。 エダとレヴィが銃で応戦する。
一方、丘に取り残されたシェンホワも、辛うじて生きている。 「獅子舞でも踊れるような具合に見えるか?」と手を差し伸べる悪党に冗談を言う。 そして、チェーンソー女も膝を抱えたまま、生きていた。 「アイツも、腕がいい・・・」
病院で雇った悪党たちの不甲斐なさにキレるエルビス。 それをなだめようとするロヴォス。 ロヴォスは、電話を持ってこいと叫ぶエルビスに嫌気がさし、ちょっと待って欲しいと言って、病室を出る。 ドアを閉めると、ため息を付いて、胸元にある銃に手をかけた。 
クルーザーの上では、激しい銃撃戦。 「おれは、操縦席に戻る。 連中をロデオに乗せてやる」とレヴィに言って、操縦席に消えるダッチ。 そして、悪党のカウボーイ野郎も、甲板から下に降りれる扉を見つけて、入っていった。  操縦をダッチに替わったベニーが、ジェーンののところにやってきた。 そして、この船には招かざる客が乗り込んでしまったから、とりあえず、別の部屋に移って欲しい、といってベニーの珠玉のマシンの詰まった小部屋に案内される。  船の上で、銃撃戦をしていた、レヴィも、縄をくくりつけ、ロデオの準備を行う。 そして、ダッチからの合図を待つ。 「牛を踊らせろ!」の無線を皮切りに、クルーザーが急旋回を始める。 遠心力で投げ飛ばされる悪党。  しかし、火炎放射器男 と カウボーイ男は、まだ船に残っていた。 火炎放射器男は、レヴィが相手をする。 エダは、船の中にいるカウボーイの始末に消えた。 
ロデオの混乱がおさまったジェーンは、鞄からPCを出してほしいとロックにいうが、ロックは鞄の存在なんて知らない。 自分の鞄がないことに気づいたジェーンは焦る。  「あれがないとどうしようもないのよ。 パソコンもない。 ネットにもつながらない!」
カウボーイ野郎は、エンジンルームで暴れていた。 そこへ、エダがやってくる。 「さすが、カウボーイ。 種牛ってやつか。 その前に、キンタマが天までブッ飛ぶ方を心配すべきか、神様に電話で聞いてみな?」 
甲板にいるレヴィは、意外と動きの素早い火炎放射器男の始末に手こずっていた。 そして、ダッチにもう一度ロデオをやって欲しいと連絡する。 
「原板は無い?」 原板のデータはネットの海のなかにあるらしい。 そのデータを併せて、射出成型器にぶち込むと、原板が出来るということらしい。 しかし、プログラマが死んでしまったために、日替わりで替わるパスワードがわからず、データが取り出せないと言う。  ベニーのマシンを使わせて欲しいと懇願するジェーンに、「いやだ」の一言。 しかし、「自分で弄るのなら、話は別だ。 君のオペレーターが何を仕掛けているのか、興味が湧いた。  でも、がっかりさせないでよ。 中学生でも組めるような物だったら、別に手間賃を貰うからね・・・」 そう言うと、ディスクをセットした。 
甲板では、火炎放射器男が、「俺は、人の肌の焼ける臭いが嗅げればそれでいい。 妻も5分とかからなかった・・・ 良い日和だよ、バーベキューをするのには。」とにやけながら近づいてくる。  男が歩き出したところで、レヴィはダッチにロデオの合図を送る。 その瞬間、大きく、船体は傾き、男は飛ばされ、宙を舞う。 そして、その中年太りの腹を目掛けて、レヴィが弾を撃ち込む。 貫通した銃弾は、男が背負っていたタンクに引火し、空中で炸裂。アボーン。
そして、ロデオの揺れにも屈せず、ベニーがコードの解析に挑んでいる。 しかし、すぐに目星がつく。 
そして、エンジンルームでは、さっきのロデオの衝撃に併せて、エダがカウボーイ野郎の不意を取った。 銃口を額に向け、両手を上げるよう、命じる。  「どの面さげて、ボスの所に戻れば良いんだ・・・」とガクブルのカウボーイ。 しかし、「その必要はない。 あとはロヴォスが上手くやるさ・・・ アイツは、ここの流儀をわかっている。」と落ち着いた口調で話すエダ。  しかし、ロヴォスがエルビスをヤるとは到底信じられないカウボーイ。 「ちょっと待て。 お前、どこかで見た覚えがあるぞ・・・」とロデオの時にサングラスが外れてしまったエダの青い目を見て、カウボーイ野郎が何かを思いだしたようだ。  「フロリダ・・・ いや違う。 ワシントンDCだ!」 「アラバマの生まれだ。 DCなんかには、行ったこともない。」とエダ。 何かを必死に思い出そうとするカウボーイ。 「ヘイ! 止めときな・・・」 エダは、静かに引き金に力を入れる。
ベニーは、暗号をパピコで大喜び。 その姿をみて、惚れてしまったジェーンが、唇を近づける。 「ねぇ。 あなた。 すっごくキュートでセクシィよ」
「その女、紺のスーツを着ていたでしょ? そして上院議員と会食をしていた。 でも、その女は、残念だけど人違いよ。 私は、暴力教会の糞尼・・・ でも、一つだけ、本当のことを教えてあげるわ。 私の生まれはアラバマじゃない・・・ 私の故郷は、バージニア州ラングレー・・・」  「てめぇ! CIA!!!」とカウボーイが叫ぶ瞬間に、引き金を引くエダ。
しばらくして、エダが甲板にもどってきた。 「ずいぶんと、時間がかかったな・・・直、港だ。のんびり、しとけよ」とレヴィ。 



次回 Fujiyama Gangsta Paradise




BLACK LAGOON
the second barrage
#19/2006-11-15
<Fujiyama Gangsta Paradise>
午前8時。 ロックの部屋の目覚まし時計が鳴り響く。 ロアナプラの安ホテルの一室。 そして、今のロックには遠すぎるあの国へ帰ることのなった。 
ロックとレヴィは、東京にいる。 「日本はどうだい?」と聞くロック。 「何人かにナンパされた。 しゃべり返すと、変な顔してガイジンを連発するばかりだ」と少々機嫌が悪そう。  新宿・歌舞伎町のバーで、バラライカ大尉とヤクザ組織の鷲峰組が密会している。 バラライカの隣には、英語-日本語通訳としてロックが座っている。 バラライカは東京に本拠地を起きたい。 鷲峰組はバラライカの力を借りて名を挙げたい。 お互いの利害の一致は早かった。  鷲峰組は、バラライカの"力"に魅力を感じている。 しかし、「"力"ですか? 我々の力は、あなた方のそれとは異なります。 我々は、軍隊ですから・・・」とバラライカが答える。  そして、携帯を取り出すと、ロシア語で連絡を取り始めた。 そして、バラライカが携帯を閉じた。 「今、香砂会も持つクラブがひとつ、吹き飛びました。」と報告する。  それを聞いて、怒鳴り上げる鷲峰組員。 「拳銃で威嚇なんて、お話になりません。 初陣で、差を見せつけます。 我々、ホテルモスクワの恣意行動です。 我々は、ここに立ちふさがる全ての物を殲滅するために、ここに来たのですよ。」  それを聞いて、組長は、気に入ったようだ。 
帰りのタクシーの中、「久しぶりに帰ってきたのに、この国を戦場にしないでくれよ・・・」と遠い目のロック。 しかし、レヴィは、爆破を知ったときの組員の腰の引けように、たいへんお喜びのようだ。  その時、神社の縁日をさして、興味を示すレヴィ。 そして、縁日の射的を見つけて、次々と的を落としていく。 面白がるレヴィの横で、黙って座っているロック。 そんなロックの様子を見て、 「思い出したのか? ここはお前の国だ。 誰か居ないのか? 連絡を取れるような・・・ 家族とかは?」とレヴィが聞く。  「あの船で、お前に銃を向けられて、早1年。 ココで生まれたはずなのに、知らないよう土地のような気がしてね・・・」とロックが、たこやきをつつきながら言う。  「俺、家族中が良くなくて・・・ 案外、どーでもいいのかなぁ・・・」   「連絡くらいとってやれ。 お前はまだ、手が後ろには回っていない。 こんな事をしてたら、何れ会えなくなっちまう・・・ 誤解しないでくれ。 顔くらいは見てこい、ってことだ・・・」 レヴィが最後の標的にねらいを定める。  弾は命中したが、標的は倒れない。 「おもりを仕込んでやがるな!」と銃の先端でつついて、倒す。 しかし、それを、射的の店主にインチキと見抜かれ、逆ギレするレヴィ。 店主に英語で捲し立て、店主もキレた。  一触即発の所に長身の男が近づく。 「お客さん。。。 すまねぇーな。 みんな、楽しくやろうじゃないですか・・・ 臨機応変にいきましょうや。」と声をかける。
「No way!」止めようとするロックを振り切って、男に迫るレヴィ。 そんな時、男の背後に隠れていた少女が、甘酒を持ってきて、「寒いですし・・・甘酒なんてどうですか?」と男とレヴィに水を差す。  結局、みんなで甘酒。 今にもブチキレそうなレヴィと男が背中を向けて座っている。 その隣で、ロックと少女が話をしている。 少女は、テキ屋の娘で学生。 男の名前は銀次というらしい。  「姉さんよぉ。 あんた、気質じゃねーな。 その目だ。」銀次はレヴィにそう言うと、娘と一緒に立ち去った。 去り際、ロックは娘に聞く「名前は?」 「雪緒です。」と答え、男の後を付いていった。
その夜、バラライカも動き始めていた。 翌朝、ホテルのラウンジで部下の報告を受けるバラライカ。 香砂会の事務所を襲撃した。 「弾に当たらぬよう、頭は低く生け」
「じゃ、ちょっと行ってくるか・・・」ロックは、公園でレヴィと別れた。 「待っててやるからな。しばらくは・・・でも、そんなには待てない。」とロックの背中を見ながら言うレヴィ。  ロックは実家に向かったが、家の前までいって、戻ってきた。 ロックは親には会わなかった。 それを聞いたレヴィは「なんで、コイツは帰らないんだよ? ここがこんなにお似合いだっていうのによ・・・」と。



次回 The Succession




BLACK LAGOON
the second barrage
#20/2006-11-22
<The Succession>
バラライカ率いる軍隊が香砂会事務所に押し入りマシンガン制圧している頃、鷲峰組・坂東とバラライカは、六本木のSMクラブで密談を交わしていた。  「すまねぇな。姐さん。 女のあんたには、面白くもねぇ場所だろうな」と坂東が言う。 「いや。だが、うるさい場所はあまり好きではない」と葉巻をくわえる。  そして、香砂会の制圧が順調に進んでいることを報告する。 しかし、「香砂会は大規模な組織であり、まだ、封じ込めが足らない・・・ 攻撃を第二段階に移行し、攻撃目標を転換する」と言い加えた。  ”転換”という言葉に反応を示した坂東。 バラライカは、”転換”について、説明を始めた。 第1に、香砂会の資金源となる店舗・風俗店を封じこめる。 しかし、それらは、揺さぶりに過ぎない。 本目標は別にあると言う。  「それは、どこの国でも通用することですよ坂東さん。 誘拐です。 我々は、香砂会会長、香砂正美の家族です。」 ”abduction 誘拐”という言葉を聞いた瞬間、ロックが一瞬驚き、バラライカの顔を見た。  坂東もそれには、焦る。 坂東が望むことは、香砂会の圧力を緩めること。 バラライカは坂東の予想外の反応に疑問を示す。 余計なことはしないでくれ、という坂東の返答を聞き、笑い声をあげるバラライカ。  「見たか軍曹。こいつら、まるで分かってないぞ。 いいかいロック。 しっかり訳してね。」とバラライカが言うと、次のように続けた。 「Mr.Bando, 我々は、無条件の力を行使し、利潤を追求している。 そして、多くのリスクを我々は、背負っている。  つまり、全ての決定権は、あなた方にではなく、我々にある。」言い終わると、バラライカはほくそ笑む。  坂東は、驚きに目を見開き、「・・・ちょっと待ってくれ・・・」と言うと、下を向いた。 その瞬間、クラブ支配人の携帯が鳴る。 そのふざけた音に、坂東の側近が睨みつける。 そして、坂東は静かに頭を上げ、「お騒がせして、申し訳ない・・・」とバラライカに謝る。 

雪緒は、学校の図書館にいた。 雪緒の後輩が、声をかけてきた。 何を読んでいるのか?と聞く後輩に、「力強くて好き」と言いながら、ハイデッガーの<杣径>を見せる。  「どんな本でも"たゆとう"海見たいな本が好きかな・・・ 知識も感情も全部の見込んで、果てしなく広がる、というような・・・ でも、どこか現実そのものとは違っていて・・・ そこが良いのかな。 でも、夜を連想させるのは、嫌いなの。 暗くて。寂しくて。切ない。 私は、夜は嫌い。 この闇に巣込まれそうで怖い。 ロマンチックじゃないわ、全然・・・」と暗くなった窓の外に視線を向ける。 

バラライカと坂東が密会している最中でも、バラライカ軍の香砂会への調査が続いていた。 次々と、標的がマークされつつある。  そんな事は、坂東が知る由もなくかった。 そして坂東は、バラライカの過激なやり方に、ちょっと考える時間がほしいと申し出た。  「もちろん、作戦の遂行に支障が出ない範囲内で、お待ちいたします。 祝杯は、互いのために揚げられるように」とバラライカが答える。  そんな様子を、クラブの支配人がアホ面で安いタバコを吹かしながら聞いていた。 そして、奥に立っていた、レヴィに気づいた。 「あの女、何なんですか?」と坂東の取り巻きに聞く。  「馬鹿野郎。 まだ懲りてないのか? アイツは、あのとっぽい通訳の護衛に付いてきた女だ。 ロアナプラからきたそうだ」と小声で答える。 「へぇ。 女なのにヤれるンですか!」と支配人は急に元気になる。 
密会が終わり、所謂、<社交の時間>がはじまった。 外で「時間の無駄だ」と不機嫌なレヴィ。 そんなレヴィに、さっきの支配人が近づく。 「あのさ。 聞いたんだけど、キミ、ガンマンなんだって?」と顔を近づける。  そんな男に、日本語なんてしゃべれねーよ と英語で答えるレヴィ。 それを聞いて、男は、それなりの英語で話し始めた。 「あのさぁ。 人、撃ったことあんの? 俺もあるよ。10人とか」と自慢気に話す男。 冷たい視線を送るレヴィが  「一言、言ってもいいか?」と言うと、男に向けて、タバコの煙を吹きかける。 「息がな、くせぇんだよ。 この、くそボケ。 香水ふっててもわかんだよ。テメーの臓物は腐ってやがる」 そんな時に、ロックがトイレから出てきた。  「レヴィ。行こう。 バラライカさんが待っている。」とレヴィに声をかける。 しかし、男は、ロックの行く手を足で塞ぐ。 「あのね。通訳さん。 見てわかんないすか? 話し中。 割り込まんでくださいよ。」と悪態ぶる。  それを無視し、レヴィに指示するロックに、男がキレる。 ロックの腹を殴りあげる。 その場に、倒れるロック。 男は、さらに蹴りも加える。  「なぁ、ねーちゃん、格好悪いよなぁ? 俺に乗り換えれば? こんな腰抜けのイチモツじゃ、満足できないだろ?」と良いながら、拳銃をちらつかせた。 それを見た、レヴィの右手に力が入る。  ロックに蹴りを入れ続ける男に気づいた坂東の側近が、男の胸倉の掴み揚げ、壁に叩きつける。 そして、坂東は、ロックの前にしゃがみ「えらいすまんな。厳しく焼き入れとくさかい・・・」と力無く言う。  そんなやりとりを離れたところでバラライカが見ていた。 「無能な上官に、命令無視の兵隊・・・ いよいよたまらんな、軍曹。」とバラライカ。 「戦場であれば、良かったですな。 すぐに戦死で厄介払いだ」
坂東たちが帰ったあと、ロックに近づくレヴィ。 「あいつ、ずっと拳銃に手をかけていた。 ねらいは、俺じゃない。 お前に抜かせたかったんだ・・・」と鼻血を拭きながら言うロック。  「段々、魂が入ってきたな、ロック。 ご名答さ。 こりゃ、カトラスがいるようになるかもな。 あたしから手を出すようなことはしない。 だが、どこかの段階で、アイツはこちらに銃を向けてくる・・・ ケツと頭の区別も付かない、"のーたりん"だからな。 請け負うぜ。 その時までの辛抱だ。絶対に殺す。」とレヴィが立ち上がる。



鷲峰組に戻ってきた坂東は、銀次と話をしている。  「香砂会を黙らすには力が足りんかった・・・ 和解金で済む話を、あのロシア人が・・・ 正直、えらいことになりおった」

雪の降り始めた代々木駅で、ロックは、ベニーと電話で話をしていた。 ロックは、ベニーに頼まれたPCパーツ類の入った紙袋をたくさん抱えていた。  そして、電話の最後にレヴィからの伝言を伝える「カトラスを送ってくれ」。 電話を切ると、いつぞやの屋台で甘酒を一緒に飲んだ少女に出会った。 「あっ。」  二人は、近くの喫茶店に入った。 「岡島さん、ご実家には帰られたのですか?」と聞く雪緒。 結局、実家の前まで行って、戻ってきてしまったロックは、なんて答えればいいのか分からなかった。  「なかなか帰れないんだよね・・・」と答えるロックに、「私も以前はそうでした。 でも、自分には、そこしかないんだって気づいたんです。自分を育ててくれた家がそこにあるって」と言う雪緒。  「捨てるには惜しい。でも、一歩踏み込む勇気はない・・・」そんな状態のロックに、雪緒が、フランス文学の引用を話し始めた。  「人は、サイコロと同じだって、あるフランス人が言っているんです。 自分で自分を投げるんです。 自分が決めた方向に・・・ それができるから、人は自由なんだって。 どんなに境遇は違っていても、どんなに小さな選択にだって自分を投げ込むことができる。 偶然や成り行きではない、自分で選んだ結果・・・」  そのとき、雪緒の携帯が鳴った。 相手は、あの銀次だった。 「え? 坂東さんがいらしているの? じゃ、早く帰らなきゃ」と電話を切った。 急いで、席を立とうとする雪緒をロックが呼び止めた。 「雪緒ちゃん。 まだ、苗字を聞いていなかったね?」と顔を手で覆いながら聞く。 「はい。 鷲峰です。 なんだか、厳めしい苗字でしょ。」と微笑む雪緒。

雪緒が家に帰ると、銀次と坂東が、深刻な声で話をしているのが聞こえてきた。 「お嬢には、関係のないことです。」という銀次。 坂東は、「これが、和平会の耳に入ってみろ・・・どうなることか・・・」と声低く言う。  そこへ、雪緒が襖を開けて入ってきた。 「お嬢。 気づきませんで、とんだ失礼を・・・」と銀次が居直る。 「坂東さん。 今のお話を・・・」と雪緒が言う。

坂東を見送る雪緒と銀次。 屋敷を後にすると、坂東の携帯に側近から連絡が入る。 非常に焦った様子だった。 内容は、ロシア連中は、まったく手を緩めることが無く、香砂会を見せしめのように破壊しているとのこと。  しかし、坂東は平静を装っていた。 自分の背後を付けてくる車の存在に気づいていた。 

バラライカは、葉巻を加えると、軍曹に鷲峰組の反応について尋ねる。 そして、指示を伝えた。 そんなやりとりに、神妙な面持ちのロックが口を挟んだ。 「あの・・・バラライカさん・・・ もし、鷲峰組が、協定を破棄するようなことがあったら・・・」  「ロック。 あなたに、何か関係が? そうよね。 居るべき場所を間違えないようにね。」とバラライカが言う。 そこにレヴィが助け船をだす。「ロックは仲間だろ? 教えてやれよ。」と。 「口が達者になったわね・・・」と言いながら、バラライカは仮定という前提を元に話をしてくれた。  結論は、目標にただ、名前が一つ増えるだけ。 あとは仕事も全て同じ。 「世は事も無し。 それだけの事よ。」

雪緒は今日も学校の図書館にいた。 雪緒は、昨日の坂東の話を思い出していた。 ”自分は鷲峰龍三の娘・・・ 岡島という野郎は、この話に絡んでいる。それもロシア人側で・・・” 楽しく話しかける友人の言葉が耳に入らないようだった。 

坂東は、ネクタイをきつく締め、短刀を懐に隠し、身支度を整えた。 一人、外に出ると、後ろから側近の一人が呼び止めた。 「なんや。ただの散歩や。 おもろないで・・・」と答える。 「ロシア人と会うんちゃいますか?」と血相を変えて駆け寄る側近。  坂東は振り返り、自分の金時計を外し、側近に投げ渡す。 「吉田・・・ 後のことは、銀公に聞け。 お前は嫌っとるが、アイツはアイツでええ奴だ」と言う坂東。 返す言葉が見つからない側近。 時計を握りしめる。 「ほな。 ばいなら・・・ なんてな」と背を向け歩き出す坂東。

吉田は、銀次の所を訪れた。 今朝方に事務所前にトランクが一つ転がり落とされていった事を伝える。 嗚咽する吉田。 「誰がやっても、こうなった・・・ 頭はアタマが回りすぎた」と声低く答える銀次。 そんな様子を聞きながら、雪緒は窓の外に降る雪を見ていた。  「暗くて。寂しい。雪の夜空・・・」



地下の駐車場。 バラライカの背後に現れる坂東。 「待たんかい! この外道!!」と言い、短刀の鞘を投げ捨てると、その刃先をバラライカに向ける。 しかし、次の瞬間、刃先は坂東の身体に突き刺さり、坂東は、バラライカに羽交い締めにされている。  「ロック。 私の言葉を訳せ。 なるべく強い日本語でだ。」とバラライカがロックに命令し、続ける。 「今夜は、本当のことを話してやろう。 私が望んでいるのは、破壊と制圧。 他の一切には、興味はない。 どこまで地獄の底で踊れるのか、それ以外には興味はないんだよ。 それでは、また、いずれ。」 そして、とどめを刺した。  気づくと自分はホテルの部屋にいた。 夢だった。 「ロック起きろ。 移動だ。 ホテルモスクワはやる気だ。 鉄と血の荒しが始まる」とレヴィが言う。

窓越しに、雪を見ている銀次に、雪緒が声をかける。 「銀さんは行くつもりなんでしょ? 私が陽の当たる道を歩めば、銀さんたちが暗い野辺を歩くことになる・・・」
「お嬢。 それはいけねぇ」
「私は、そこから逃げるわけには行かないんです。 ・・・今、銀さんの中に、夜を感じている。 だからこそ、それは冷たい物ではなく、体温がある。。。」そういうと、窓をあけ、雪がうっすらと積もる庭に降りた。
「わしは、お嬢には陽の当たる真っ当な道を歩んでいただく・・・ そのためだけに、今日の今日まで生きてきたんだ。 香砂の悪党どもとロシアの連中が、俺たちを滅茶苦茶にしようとしやがる・・・」と唇がかみしめる銀次。
「通せる筋は、私たちだけでも通しましょう。 私であれば、対等な条件でというのであれば、私が。  ・・・ねぇ銀次さん。 雪の夜って、綺麗・・・ 今、初めてそう思いました。」と暗い空を見上げて雪緒が言う。  そして、「銀次さんは、私を守ってくれますか?」と尋ねた。 銀次は、雪緒を御前に忠誠を誓う。


人はサイコロと同じで、自らを人生の中へと投げ込む。
L'homme est d'abord ce qui se jette vers un avenir, et ce qui est conscient de se projeter dans l'avenir.


Existentialism is a Humanism (原題 L'existentialime est un Humanisme)  ジャン=ポール・サルトル著(1946)     



次回 The Father's Little Solder Girls




BLACK LAGOON
the second barrage
#21/2006-11-29
<The Father's Little Solder Girls>
1967年。「わたくしが、オリンピックへ? 叔父様?」と少女期のバラライカ。 叔父曰く、バラライカの父の名誉回復のために、幼いバラライカが出来ることは、オリンピックに出ること。 しかし、「だが、そのためには、ちょっとした資格が必要になるかもしれないな・・・」と言い足した。  その後、成長したバラライカは、中尉として戦場にいた。 その射撃の腕前は超一流。 それが1987年の事だった。 
そして1992年。古いテレビにロサンジェルス・オリンピックの中継が映っている。  テレビを前に「軍籍を剥奪された私は、もはや、大尉ではない。 もはやソビエトという国も存在しない。。。」と憔悴しきったバラライカがかつての部下に言う。  「あなたの元にいれば、何とかなると思っていました。 この貧しさからでさえ・・・」と部下はまだ希望を捨てていないようだった。 
仲間の葬儀。 墓地に、軍服を羽織ったバラライカが来る。 「同志諸君! 頭を上げよ!! 我々は、現刻より我々の軍務に復帰する。」 その言葉に、敬礼で応える同志。

「あの共同墓地以来、数々の戦場で戦ってきた。 今の作業は単なる通過点だ。 手早く片付けてしまおうじゃないか。」とバラライカが移動中の車の中で、軍曹に言う。  手元にある鷲峰組の資料を捲っていると、一人の少女の所で手がとまる。 「坂東のあとは、そいつだそうです。」と軍曹が言う。 「小娘じゃいか・・・」とバラライカ。

雪緒は学校の図書館で図書カードの整理をしていた。 終わって、後輩のマキと外に出ると、既に暗く雪が降っていた。  「マキちゃん。 お母さんと、仲良くね・・・」と雪緒がマキの頬に手を当てて言う。 「先輩? やだな。 何だか死ぬみたいじゃないですか・・・」と驚くマキ。  その時、学校に何台ものメルセデス・ベンツが入ってきた。 そして、雪緒とマキの目の前で止まった。 怯えるマキ。 最後の1台が雪緒の正面に止まった。  ドアが開くと、日本刀を持った銀次が降りてきた。 銀次は雪緒に近づき、「総代。 お迎えに・・・」 「お待たせを・・・」と凛と答える雪緒。  「先輩・・・ 私何が何だか・・・」と恐れのあまり足がガクガクしているマキ。 そして、雪緒は最後に振り返り、「健やかにね。」と優しく微笑む。 マキはその場に座り込み、涙を流して送ることしか出来なかった。「・・・先輩・・・」  雪緒は銀次に従い、車に乗り込む。 ドアが閉まると、一斉にマキの目の前から消えていった。




「バラライカの所在は、掴めましたか?」と尋ねる雪緒。 しかし、全く情報が掴めないらしい。 雪緒は、ロシア大使館のある麻布の方にも注意を払うように指示をする。  吉田は、バラライカの逃亡を阻止するべく成田は羽田にも兵を向かわせないのか?と確認するが、雪緒は、「私たちの反撃は、折り込み済みなんでしょう。 逃げることはないと思います。 やる気なんでしょう・・・」と呟き、車窓に目を向け、メガネを外しそっと涙を拭いた。  そんな様子をルームミラー越しに見ていた吉田は、「総代。 どこかで車を止めましょうか?」と気を遣う。 「いえ。大丈夫です。 慣れないといけませんね」と笑う雪緒。  「吉田さん。 まだお礼を言っていませんでしたね。 総会の時はありがとうございました」と頭を下げる雪緒。  雪緒が坂東の敵を討つと鷲峰組員を前に宣言したとき、吉田が組員に喝を入れてくれていた。 
しばらく走ると、車が止まり。銀次が一人降りる。 「では総代。 そろそろはじめさせていただきやす。 後ほど、本宅で・・・」と雪緒に頭を下げる。 「銀さん。 一番乗り、どうかご無事にお勤め下さいませ。」と声をかける雪緒。 「任せておくんなさい」

ロシア料理レストランで、ラプチェフとその部下が、バラライカに連絡を入れようとしているが、全く繋がらない。 苛立つラプチェフ。 部下の手に、ナイフを突き刺す。  「くそ! あの女。焚き付けやがったな。 そうでなければ裏切るはずがない。 アイツはKGBを憎んでいる。 他にも、あの女に潰されたヤツはいくらでも居るんだ!」と顔を覆うラプチェフ。 その時、表の通りに数台の車が止まった。  そして、窓が一斉に開き、小銃の銃口がレストランに向けられる。 その気配を察知したラプチェフは、「伏せろ!」と叫び、床に伏す。 銃弾が乱れ飛び入り、混乱する室内。 そして、銃声が止むと、割れたガラスを踏みしめる音が近づいてきた。 そして、静かに扉が動く。  刀を抜くと、一気に斬りかかる。 ロシア人が引き金を引く前に斬り倒していく。 その光景に腰が抜けたラプチェフは、這って奥の部屋に逃げる。 「旦那。 どちらにお行きで・・・」とラプチェフの背後から、頬にその刀先を近づける。  「さて、いろいろと聞きたいことがある。 まず、そちらの女親分さんの逐電先だが。」 追いつめられたラプチェフは、ロシア語で喚く。 「おっと。 日本語が分からない。 そっか。使えねぇな。アンタ・・・」そういうと、刀を振りかざし、そして振り下ろした。

そのころ、レヴィとロックは、米軍駐屯地にいた。 レヴィの愛器・カトラスを引き取るためだ。 やっと、自分の愛器が手元に戻って、ご機嫌なレヴィ。  しかし、ロックはタクシーの中でニュースを見て呟く、「はじまった・・・」 ロシア人相手の抗争がついに始まった。  ロックは雪緒のことが心配で仕方がない。 「あの子を放ってはおけない。 一緒にあの子のところに行ってくれないか?」とレヴィに言う。 「アホ抜かせ・・・」とタバコを吹かすレヴィ。 今では、鷲峰組は敵となっていた。  「このままでは、あのが巻き込まれる。 あの子は、俺たちとは違う! 普通の娘だ!! そして、ここはロアナプラじゃないんだぞ!」と叫ぶ。 レヴィは、タバコを窓から投げ捨てると、 「どこが? どこが違うんだロック。 アイツはもうこちら側の人間で、姉御はロアナプラの流儀で、ここを片付ける。 違いなんて、どこにもねぇ・・・ たのむぜロック。 ここは、分水嶺なんだ。 ここを渡れば、戻れねぇ。 私が言いたいのは、ここはアンタの国だってことだ。 言いたいことが分かるか?」とロックの顔を見る。  ロックは俯き「・・・分かるさ、でも。。。」と言うだけだった。 少し間をおき、レヴィが頭を抱え、「いいんだ・・・ 忘れてくれロック。 ここでの私の役目は、アンタの命を守ることで、アンタの逝き方を邪魔することじゃねーもんな・・・ だから、ついていくよ、マスター」

バラライカは、ホテルの一室に移っていた。 ホテルのボーイに無造作に折られた札束を渡し、ロシア大使館意外の電話は取り次がないようにお願いをする。 そして、ボーイが去った後、本題に入る。  軍曹は、香砂会事務所にはすでに警察が居ることを報告する。 「この国の警察は優秀です。」 「賄賂を足らない警官は優秀だ。 質の問題だな、軍曹。」 そして、ラプチェフの話になった。  「同志ラプチェフはよく働いてくれました。」 「そうだな。 KGBにしては、実によく敵情偵察を果たしてくれた。 だが、暴力の分野は我々だ。 我々の仕事を始めよう。」と葉巻に火を付けるバラライカ。  ラプチェフは、銀次の刀でクビを切り落とされ転がっていた。 




雪緒は、吉田に本宅に送り届けられた。 「吉田さんもご苦労様。」と吉田を労う雪緒。 そして、車が立ち去ると、吉田は、学校に車を乗り付けたことを雪緒に詫びる。 しかし、雪緒も分かっていた。 「いずれは、あの子にも知って貰いたかったこと。 考えてみれば、一番良い頃合いだったかもしれません。」と吉田に微笑む。 そして、ありがとうと言って軽く頭を下げた。 
玄関の戸を開けると、例のSMクラブオーナーのチャカが居た。 「なんだ。思ったより早かったじゃないっすか。」と吉田に声をかける。 「なんで、おんどりゃがここにおるんねん? 持ち場があるやろ!!」と怒鳴る吉田。  そんな言葉を適当に聞き流しさっさと部屋に戻ってしまうチャカ。 そのあとを、吉田が追う。 そして、部屋に入ると、そこにはチャカの集めたチンピラ達が輪を作っていた。 その光景に、「チャカ・・・ これは、お前の助っ人か?」と吉田が言う。  「吉田さん。 あのね、あんた、人、良すぎ。」とチャカは振り向くと同時に、吉田の腹に銃弾を撃ち込む。 血が飛び散り、畳の上で腹を押さえる吉田。 「あれ?吉田さん、痛かった? 俺ら、なんつーか、特のない所には就かない主義なんでね。  ま、香砂会でもロシア人でも良いんすけど、手みやげがあれば、悪いことにはならんでしょ?」と吉田を見下ろすチャカ。 その様子に、後ずさりする雪緒。 吉田は、チャカの足にまとわりつき、「お嬢!はよ、逃げろ!」と叫ぶ。  しかし、「ごちゃごちゃうるせーんだよ」と吉田と蹴り飛ばし、その脳天に銃弾を撃ち込む。 雪緒は、逃げようとするが、チャカの手下にぶつかってしまう。 その手下が逆ギレを起こし、逃げる雪緒の黒髪を掴み、顔面を殴る。 壁に倒れ込む雪緒。  そして、腹に蹴りを入れる。 「なんか言うことあんじゃねーのか?」と執拗に甚振る。 その様子を見かねたチャカが近づき、「お前。だれが半殺しにしろって言ったよ? あんまり調子にのると、殺すよ?」と手下の頭に壺をたたき落とす。  そして、手下の胸倉を掴みあげ、 「ごめんねぇ雪緒ちゃん。 俺ら、キレると、何するかわからねぇ連中ばっかだから、おとなしくついてきてね?」と笑いながら男の顔面を殴り始めた。 

ロックとレヴィが、鷲峰本宅に到着した。 玄関の前に立ったレヴィが、気配を察した。 「気づかねーか、ロック? ここは嗅ぎ慣れた臭いしかしねーだよ、ここは。」というと、カトラスを取りだした。  その言葉に、ロックは、飛び出し部屋に乗り込んだ。 そして、部屋には、吉田の死体だけが転がっていた。 レヴィは、そこに薬莢が無いことや、銃口径が大きな事から判断し、 ホテルモスクワの仕業ではないことを見抜く。 「不幸だよな。吉田さんも。 こんなに風通しが良くなっちゃって・・・ こんな大口径を使うのは、見栄っ張りの底なしのバカと相場は決まっている。 心当たりが一人居るけどな・・・」と言うと、 本宅に戻ってきた銀次が、刀を振りかざしレヴィに迫ってきた。 お互い寸止め。 「消せねぇ・・・ 火薬の臭いがしやがらねぇ・・・」と銀次。 「これは、僕たちじゃない。 ホテルモスクワもここには辿り着いていない。」とロックが説明する。  「雪緒ちゃんを戦いから遠ざけるためにここへ来て、これに出くわした。 信頼してくれ・・・ 僕たちは、ホテルモスクワとは、」と言いかけたところで、銀次は刀を納め、ロックに背を向ける。  ロックは銀次を呼び止めるが、「あんたには関わりのねぇことで・・・」と呟く。 「時間がない。 これをやったのは、ここの身内だ。 そして、相手は、アンタが取り戻しに来ることを知って、待ち受けている。 でも、もう一人、腕の立つガンマンがアンタにの側に立つのなら、アイツの予想の範囲外だ。」とロックが言うと、 「そいつの居場所が、知りてぇんで?」と銀次が聞く。
銀次から、場所を聞き出したロックとレヴィは、車で向かった。 レヴィは、ラジオのチューナーを回して、お気に入りのギターウルフの曲を探し出した。 ノリノリで車を走らせる。  「・・・あんたが肩入れする理由が分からん・・・」と銀次がロックに聞く。 「あの子は、ここに居て良い人間じゃない。 普通に生きるべき子が、生きられないのがイヤなんだ。。。」とロック。  「だれかが、許すんならね、それも良かったんでしょうよ・・・ 誰かが、許してくれたんなら。。。」と呟く銀次。

そのころ、チャカと手下は、ボウリングで遊んでいた。 ストライクを取るごとに、雪緒の服を脱がせていた。 「上っすかぁ? 下っすかぁ?」 「"まっぱ"になったら、賭け終了じゃないっすかw」  「そーなったら、アレだアレ。 毛、剃ろうぜ。」 雪緒は、スカートとブラを脱がされ下着姿で、その屈辱に耐えていた。 
そして、ロックたちが到着した。 レヴィと銀次は正面から入る。 ロックは裏から入るように指示を出すレヴィ。  「戦いが始まれば、お互い身体は勝手に動く。 そう言うふうに出来ているんだ、わたしたちは・・・」   



次回 The Dark Tower




BLACK LAGOON
the second barrage
#22/2006-12-06
<The Dark Tower>
「あんだよ、その目は? あんだけされたのに余裕じゃんかよ。 あ?」 雪緒の胸倉を掴み上げるチャカ。 「一段落したらよ、輪して遊んでやるからよ。シャブ付けにされてゲロでも喰ってれば、考え方も変わるだろうよ。 安心しろや。ビデオが出たら俺も買ってやるからよぉw」(放送禁止部分の音声が途切れてほとんど分からないので、想像です。 ご了承を。)

銀次とレヴィが正面の自動扉から入ってくる。 ボウリング場に繋がるドアの前には、チャカの手下3人が、床に座ってしゃべっていた。 銀次とレヴィに気づくが、銀次の突きで、振り飛ばされる。  「へぇ! ホントに来るもんだねぇ。 Hey! my dear lady Revy, what are you doing here?」チャカが雪緒の羽交い締めにしながら、動く。 雪緒の辱められた姿を見て、銀次が刀を抜く。 レヴィも軽く、舌舐め擦りをして、カトラスを抜く。  チャカの手下が次々と撃たれ、斬られて殺られていく。 「スゲェスゲェ。 これは、本気で入れねぇとやっべぇわ」と柱の影に隠れたチャカが雪緒の黒髪を掴み連れていく。  「すっげぇよ。 すげーよ、あの女!」と興奮のチャカが、裏口へ向かってエスカレータを降りる。 しかし、降りきった所の床で滑って転ぶ。 裏口から回ったロックが、床に洗剤を撒いていた。 そして、怯んだチャカの頭に、ボウリングのピンを振り落とした。  レヴィは、相変わらず手下を滅多撃ちに。 逃げ場がないと両手を上げる手下、「ギブ、ギブ、ギブ」と喚く。 「Give? Give me what? you'll give me something, right? Come on! Fucker!」とレヴィはニコニコしながら近づき、 脳天を撃ち抜く。 そして、周りに隠れていている手下達に向かって、 「残念だな。お前ら。 お前らは、生きてここから出られない。 ここは、地獄のモーテルだ。 出来る限り逃げてみな。」と言うと、悲鳴を上げて一斉に逃げ出す。 その背中に向かって、次々と撃ち抜いていく。 
チャカと数人の手下は、騒ぎの音が静かになったことに気づく。 他の仲間が全滅したのではないかと怯える手下に逆ギレするチャカ。 逃げ出す手下を撃つ殺す。 その様子を見ていた、レヴィが出てきた。  「ずっと、お前に会いたかったんだぜ。 女のガンマンなんて初めてだぜ。 やっと機会が来たんだ。 俺と寝てくれよ、レヴィちゃん。」というチャカの言葉を鼻で笑うレヴィ。  チャカは、空き缶を手に取り、こう言う。「この缶が床に落ちたら、それが合図だ。 いいかい? 10、9、8、7・・・」とカウントダウンを始めた。 しかし、レヴィは、その途中で、チャカに突進し、蹴りを入れる。  仰向けに倒れたチャカの腹を足で踏みにじりながら、 「ガンマン気取りで勝負したかったのか? 笑わせるぜ。 誰がオメーみてぇな三流以下の糞袋を相手にすんだよ、ヴォケ。  殺したいのは山々だがよ、喜んで殺したいと言うのなら、話は別だ。 テメェなんかの始末は、デカ物に任せることにするぜ・・・」と言うと、 レヴィは銀次と落ち合うため、プールに向かった。  立ち上がったチャカは、レヴィの後を追う。 そして、その先には、銀次が待っていた。  「Sorry to keep you waiting, Jambo」と言い、レヴィは、チャカの始末を銀次に引き継いだ。 「おもしろくねぇなぁ。 ウゼェんだよ、このチャンバラはよぉ。 お嬢ならもういねぇよ、俺がもう売っちゃったから。」とチャカ。  銀次は、柄に手をかけ、「好きなように抜きなせぇ・・・」とチャカに言う。 息づかい荒く、チャカが睨みつける。 チャカが拳銃を構えると同時に、撃つ。 それを見抜いた銀次は、自らに迫る弾丸を、一刀両断にする。  砕けた二片が飛び散る。 その技に、一瞬驚くレヴィ。 次の瞬間、チャカに迫った銀次の刀は、銃身→シリンダーと輪切りにしていき、最後に、銃を構えていたチャカの両腕を切り落とした。 そして、一突きでチャカをプールに突き落とす。  「殺すぞ テメェ!」と肘から下のない腕で藻掻きながら喚き散らす。 その情けない有様に冷めた目で見下ろすレヴィ。





雪緒とロックは、ロッカールームに隠れていた。 ロックは、雪緒を守るために、箒を構えている。 騒ぎが静かになり、パイプ椅子に座っている雪緒が、やっと口を開いた。  「・・・岡島さん。 どうしてここに?」  「放っておけなかった。 キミがこの件に巻き込まれたことを知ったから。」とロックがタバコを取り出しながら言う。  ロックの”巻き込まれた”という言葉と聞いて、ロックが自分の立場を知っていないことに気づく。 「違うんですよ。岡島さん。 私は、その中心にいる人間で・・・そして、あなたは私の敵です。」

「もう一度言います。 あなたは私の敵です。」 その敵という、予想もしない答えに、驚きを隠せないロック。 さらに追い打ちをかけるように、雪緒は自分が、鷲峰組第14代継承者であり、最高権力者であることを告げた。  「私は巻き込まれた人間ではなく、その中心にいる人間で、そしてあなたは私の敵です。」と言うと、俯く雪緒。 その精気のない雪緒の眼差しに、ロックはロッカーを殴りつけ、「キミはここがどんな場所か分かって、踏み込んだのか!」と怒鳴る。 
そして、雪緒は静かに、もう一度同じ質問をした。 どうしてここに来たのか、と。 ロックの答えは同じだった。 そして、雪緒は坂東の死について話し出した。  「私は、坂東のの死は、自殺だと思っております。 その場所に、あなたも居たはずです。。。 組の推進力が消え、親組織から疎まれ、強力な相手と相対さなければならない状況の時、この苦境を掬い上げる者があなたしか居なかったとするならば・・・」  雪緒の言葉に唇を噛み締めるだけのロック。 「馬鹿げた事でも筋を通すことが、我々の秩序。 そうするしかなかった・・・」と雪緒。 そんな雪緒にロックは、坂東も銀次もあるいは雪緒自身も、今のようなこの状況に立たなくても済むように願っていたんじゃないのか? と問いただす。 
しばらくの沈黙の間、雪緒は昔を思い出していた。 そして、「もし、もっと早く、私がここに立っていれば・・・ こんな事には、ならなかった」と呟く。 それを、否定するロック、「違う! 憎むべきは香砂会だ! キミは、自分一人に責任を押しつけようとしてる。」  雪緒は、以前ロックと入った喫茶店で話した事について言う。 ”人はサイコロと同じ”だと・・・ ”自分で自分を投げる。 自分で決めた方向に” 「私は負わされたのではない。 自分で決めたのです。 父と、父を慕う人たちのために・・・」  「違う! キミは背負わされたんだ! それを見誤ると、全てを背負って生きていかなければならなくなるんだぞ!」とロックが言う。  「・・・あなたは、夕闇にいるから。。。 そうやって、ずっと夕闇に留まっているから、言えるんです! 私はここへ来るしかなかった。 選んだと思わなきゃ、覚悟なんて出来ません。 誰かの名誉が、命が、私に懸かっているのなら、その為に戦う意外に私に何が出来るのですか? 今夜の事だって、私が背負おうと覚悟していなければ、耐えられなかった・・・」初めて雪緒が感情を高ぶらせた。  その時、やっと、ロック自身が自分の無力さに気づかされた。 目の前で、転がり落ちていく少女にかける言葉も見つからない・・・ ”俺の足は、どこにも立っていない・・・”
「私が悪いことの全てを背負えば、みんなが、銀次さんが救われるというのであれば、それで良いって決めたんです。」と雪緒が強く言う。 声を出そうとするロックを遮るように、雪緒は、三度ロックに尋ねた、「なぜ、ここにいるのか?」と。  「今ならはっきりと分かります。 なぜ、あなたが、東南アジアの裏社会に潜り込んだのかを。 結局、あなたは、何も選んでいないのです。 平凡な日々に戻るわけでもなく、悪の道に沈むわけでもない、ただそこに立ち止まっているだけなんです。」  雪緒の痛い言葉に、反論出来ないロック。 そして、止めを刺すように、雪緒が言う、「岡島さん。助けてくれるって言いましたよね? じゃ、助けてください。 私を! 銀さんを! 鷲峰組を! みんなを!  ・・・出来るわけないですよね。 だって、あなたは、私を助けたいわけじゃない。 あなたは、捨てたはずの日常を失いたくないだけ。 私を失えば、日本に最後に残した追憶の欠片さえ無くしてしまうことになる。 あなたは何も負おうとはしない。 自分が捨てたはずの者にさえ、まだ、憧れのひとかけらを抱いてさえする。 そんな事で、一体誰を守れると言うのですか? そんな事で、誰を助けるなんて言えるんですか? さぁ!答えて!」  雪緒は一回大きく息を吸うと、「私は、普通に生きたかった。 普通に生きることを望まなかったあなたと、同じ所に居るはずなのに・・・ それが、どうしても悔しくてたまらない。 だから、私、あなたが、嫌いです」と最後に、笑顔でロックに言った。
 
プールで足掻くチャカの額に柄を押しつけ、浮き上がれないようにする銀次。 そして最後に、深く鎮め、息の根を止める。 
プールから立ち去ろうとする銀次を止めるレヴィ。 「待ちなよ。 さっき、面白いことやったな? 弾を斬っただろ。 もういっぺん、アレを見せてはくれないかよ。」  カトラスに手を伸ばそうとするレヴィの甲に鞘先を当て、「短気はよくねぇ。 あんたと通訳さんには義理がある。 そいつを無駄にするのは、よくねぇ。 運が良ければ、いや、悪ければ、殺り合うこともありましょうよ。」と言う銀次。

騒ぎが収まり、表に出ると夜が明けていた。 「この度はどうも有り難う御座いました。 でも、もう二度とお会いしないことを願っております。」そう言うと、雪緒は去っていった。

そんな中、バラライカによる鷲峰組掃討作戦が着々と進んでいた。 「日本の連中に"イクサ"の作法を教えてやれ。」と葉巻に火を付ける。



次回 Snow White's Payback




BLACK LAGOON
the second barrage
#23/2006-12-13
<Snow White's Payback>
バラライカ勢は、次々と鷲峰を潰していく。 雪緒と銀次は、井上の運転する車で移動している。 確実に自分たちの勢力が潰されていく状況に、雪緒は、バラライカ勢の手口は、マフィアというより軍隊のそれに近いことに気づく。  「そうか・・・ だから、大尉。。。 誤算だったわ・・・」
そのころ、東京湾の港奥に停泊するロシア船の中で、バラライカとその側近が、地図上の制圧ポイントにチェスの駒を並べて作戦会議を行っていた。  その最中にも、部下の制圧完了の入電が続々と入る。 「よし。 姫君を丸裸まで、あと三手だ。」とご満足そうなバラライカ。 

よる、ロックは居酒屋で浮かない顔で飲んでいる。 その様子とは逆に、レヴィはご機嫌だった。 「あんなのに出くわすとは、ガンマン冥利に尽きるというもんだ」と銀次が自分の目の前で、弾を真っ二つに叩き割った事を楽しそうに話し始める。  「天までイかしてやるぜw あのデカブツとヤり会いたくて、タマンネ。」
「そんなに死に急いでどうするんだ」
「ロワナプラに吹き溜まっているヤツらは、全員死んでいる。本物の死体と違うことは、 死に怯えがあると目が曇る、死なんかどうでも良くなると本気で戦えるということだ。」
「ドブの中で野垂れ死ぬのが、お前らの趣味か? ロワナプラが遠くに感じるよ・・・・ すまない。悪い酒になってしまったな・・・」

雪緒と銀次は、料亭で香砂会と会っていた。  「嬢ちゃんよ・・・ 大人をからかっちゃいけねぇなぁ。 あんたの襲名を認めるわけにはいかねぇし、あんな無茶なロシヤ人を引き込んだ落とし前は、どう付けるんだ?」と香砂会会長が言う。  香砂会側の態度は、既に、鷲峰を救う義理はないというものだった。 「・・・仁義、地に落ちたり・・・」帰りの車の中で、雪緒が呟く。  現在の鷲峰の勢力は抗争開始時の3割にまで落ち込んでいる。 そして、雪緒はある決断をする。

雪緒は、井上に車を止めさせ、こう言った。 「鷲峰の組を守るものたちの命をここで潰えさせるわけにはいきません。 これは、あなたも同じです、井上さん。 機会は必ず作ります。 その時まで命長らえて、至福を・・・」  車から降りた井上は、雪緒に深く一礼した後、涙を拭いながら街に消えていった。 
替わりに銀次が運転席に座り、これからについて話を始める。 ロシア人は、組事務所前に付けられている監視ビデオの破壊を怠ることなく制圧を勧めているが、運良く致命的な破壊を免れたビデオテープに、 彼らが移動に使っていると思われる車輛が写っていた。 その車輛には、電気工事会社と思える社名と、大きなスペードのマークが入っていた。 「この車がどこから来るのか・・・」

そして、翌日、雪緒と銀次は行動に出る。 ロシア人の使っている車を模して、銀行強盗を決行する。 ショットガンを振り回し、現金を強奪。 車に戻り、逃走を開始する。「悪漢になるのも爽快だわ。 わたしたち、ボニーとクラウドね!」  その時、傍受した警察無線から、強盗事件の発生と逃走車輛の特徴が聞こえてきた。 そしてすぐに該当不振車輛発見の無線も入った。 雪緒は、警察無線の情報と、バラライカの武器の手配ルートを予測することで、敵がどこにいるのかの検討を始めた。 「・・・船? バラライカは港にいる?」
突然、警察に追尾された事お連絡を受けたバラライカは、「これが、この小娘の効果的な反撃だというのか? 面白い。 コイツだけは、徹底的に潰さなければな。」とボードに貼られた雪緒の写真を見ながら言う。 

「知識とは現実を忘れるためにある。 書物からは味わえない現実の陶酔感・・・ それを象徴する土地。ロワナプラ・・・」雪緒は膝に乗せた銃を触りながら呟く。 

そして、ロックとレヴィは、ホテルの地下駐車場でバラライカの到着を待っていた。 そこでバラライカは、再び日本人との会合があると告げた。 その相手は、香砂会。 「これで、厄介ごとを全て一掃できて、大助かり」とタバコに火を付ける。  ”香砂会”という言葉にロックは、雪緒があのボウリング場で言った言葉を思い出した。 <あなたは、私を助けたいわけじゃない。 ただ、無くしかけた日常を失いたくないだけ。。。 あなたは、そうやって、夕闇に留まるんですか?>  そして、ロックはバラライカに噛みついた。「あなたが香砂会と連む理由はどこにもない。 鷲峰組は既に弱体化している。 モスクワにとっては、驚異ではないはず。 それに、鷲峰組の新組長は未成年だ!」  「ロック。 立場をはき違えては、いけない。 あなたは、私の通訳さんであって、戦友でも同志でも何でもない・・・」 それでもロックは続けて「あなたにも、信じる正義はあるだろ!」とバラライカに言い寄る。 それには、バラライカもキレた。  「もういい、ロック」と言いタバコを投げ捨て、「面倒だ!」とロックの胸倉を掴み、車のボンネットの上に叩きつけ、顔面に銃口を向けた。 その瞬間、レヴィと軍曹も銃を抜き、互いに銃口を向かい合わせた。  「なぁ・・・ 落ち着こうや姐御。 こんなところで血のバレンタインをやらかしたいのか?」とレヴィ。
「吠えるなレヴィ。 ロック、私を見ろ。」三者が同時に安全装置を解除する。  「正義か・・・ これほど万人に愛される言葉もないな。 素晴らしい言葉だ。  しかしだ、自分の力を行使するわけでもなく、他力本願で誰かの死を願う・・・ お前の言う正義だって、随分と生臭いぞ。 血溜まりの臭いが鼻につく。 そう思わないか?」とバラライカが言う。  銃口の向こうのバラライカを睨みつけるロック。 「そんな顔で睨むなロック、攻めているわけじゃない。 お前からそんな言葉を聞くとは思ってもいなかっただけだ。 私は、愉快でならない。 私たちの命は実に軽い。 まるで、キャンディバーの包み紙のようだ。。。。」
「バラライカさん・・・ あなたの勝利は確実で、失う物なんて何もない。 それでもまだ足らないのか?」とロックが言う。 「足らないな。 命を乞うときのコツは二つ。 一つは、命を握る者を楽しませること。 もう一つは、その人間を納得させるだけの理由を述べることだ。 お前はまだ、どちらも満たしては居ない・・・ さぁ踊れ! そうまでして助ける義理がどこにある?」
「あんたは勘違いをしている。 義理何かの言葉も正義も方便だ。 理由はたった一つ。 それは、俺の趣味だ。 根本の所では、あなたと同じですよ。」 そのロックの言葉に、笑うバラライカ。 そして、銃をしまい、「明日から、いろいろと動くわ、ロック。 馬鹿な勝負に挑むのは程々にしておいた方が良いわ。」とコートを羽織ってその場から離れた。 
バラライカが去った後はは、今度は、レヴィがキレた。 レヴィはロックに「今、生きているのは、神のご加護と、あのコートを羽織ったイかれた戦争マニアがどういうわけか銃を収めたからだ!」怒鳴り散らす。 ロックは、「レヴィ、頼みがある。 もう一度、俺の街に付き合ってくれないか?」と静かに言った。

再びあの公園のベンチで冬空を仰ぐふたり。 「お前にここは良いところだ・・・ いっちまえ・・ そしてもう後ろは見るな・・・」とレヴィが言う。
  「レヴィ。 忘れたのか? 俺はもう、死んでるのさ。 お前と出会ったあの日から。 死人にとっては、ここは幻のような所。 俺は、ここに戻るために来たんじゃない。 忘れるためにここに来た。」 
「きっと、後悔する・・・」 
「後悔なら1年前に済ませた・・・ あと足らなかったのは、覚悟だけ。」 
「そっか・・・」
そんな話をしていると、子供たちが集まってきて、またこの間のように空き缶を撃ち落としてよ、と、せがんできた。 そして、レヴィがカトラスを取りだした。 「それ、何て銃? 本物?」と子供たちが聞く。  "Now you watch the cans carefully...."と言うと、空き缶を撃ち抜く銃声が鳴り響く。 静かにベンチを立つロックとレヴィ。 "Now, your mammy is waiting for you, go home kids"と微笑みかけながら公園を後にしたふたり。

雪緒は銀次に、もっと強力な銃はないのかと尋ねていた。 銀次は、桐箪笥の奥からロシヤ製の銃を取りだしてきた。 「お嬢には手に余るかもしれませんが・・・」 「少しでも、足手まといにはなりたくないの。 これが良いわ。」と銃を取りあげる雪緒。 

次回 The Gunslingers




BLACK LAGOON
the second barrage
#24/2006-12-20
<The Gunslingers>
「私は、ずっと銀さんと一緒にここまできました。 これからも・・・」 夜明け前に一人雪緒の前から消えようとする銀次に、雪緒が声をかけた。 
その日、バラライカは、香砂会と場を設けていた。 ロックが通訳として同席している。 そして、廊下に出て、庭の池を見ている休憩中のロックに、バラライカが近づく。  「後のことは、モスクワからの後任が継ぐわ。 最後まで見物できなくて、残念ね。」と言いながら葉巻に火を付ける。 香砂会の屋敷の表には、警官が待機していた。  警察側も、バラライカらが、香砂会と鷲見組の抗争に絡んでいるだろうことを感づいていたが、証拠が掴めないでいる。 ICPOに照会しても、データがない。 国際担当の専門家が、向かっているという状況だった。  バラライカが声をかけても反応のないロックに、バラライカはガラス戸を軽くノックし、ロックの気を引かせた。 「なんなの? なにか、言いたそうな顔をしているけど・・・ 気のせいかしらね? 私はもう、あなたの命を救ってあげているわ。 さらに、それ以上の望みなのかしら?」  「・・・一つだけ・・・ もしこのまま収まるのなら、鷲峰組を徹底的に破壊して欲しい。 それのみが、彼女を解放する。」とロックが口を開いた。 それを聞いたバラライカは、「な・る・ほ・ど・・・ なるほどなるほど。 確かに。 この状況下で、姫君を清浄な世界に引き戻す唯一の方法だ。 ふふーん。 悪党だな、ロック。 正しい判断だ。 良い悪党になるぞ、お前は・・・」とバラライカが静かに答えた。  そして、香砂会会長とのミーティングが再開された。 香砂会会長は、バラライカとの友好の印として、握手をするため、右手を差し出すが、バラライカはそれを無視し、これからのことについて話を始めた。  「これから、後任へと引き継ぐことになりますが、その間、どんな事が起こるか分かりません。 そこで、あなた方の武装が知りたいのです。 それは、万全ですか?」 そして、香砂会会長のボディーガードに銃を見せて欲しいと、手を差し出すバラライカ。  躊躇する側近だったが、会長が渡せと促す。 銃を手に取り、非常に満足そうなバラライカ。 「わかりました。 非常に優秀なボディガードですね。 予備の銃はありますか?」と言うバラライカ。 その言葉に従い、予備の銃も差し出す。  その銃を手に取ったバラライカは、いきなり態度を豹変させる。  「これは、酷い銃だ。 見て見ろ軍曹。 これは、本当に酷い。 罵声の悪党でもこれは持たない。 無惨で、全くおぞましい。 考えたことがありますか? こんな銃で撃たれる者の気持ちを・・・」 そして、バラライカは、その”酷い”銃のセーフティロックをい外し、 「止めだ! こんな恥ずかしい銃を持っている奴らと共闘などできぬ」と言い、立ち上がると、会長にその銃口を向けた。 そして、銃声が響く。 その音と同時に、待機していた警官が強制突入を開始した。  香砂会会長とボディガードは、脳天を撃ち抜かれた。 「おやぁ。。。 なかなか悪くないな、この銃は。」とバラライカが呟いた。 さらに、ロックに「これは、お前の銃だ。 記念に持っていくか?」とロックの目の前に差し出す。  「銃は好きじゃないし、持ち慣れないものは持ちたくない。 これは、お返しします。」と一瞬、その銃を握るものの、バラライカに返す。 バラライカはその銃をもう一度確認するように、じっくりと見た後、それを庭の池に投げ捨てた。  「軍曹。 その銃もここへ捨てていけ。 基地に帰投する。」 そして、バラライカたちが立ち去ろうとすると、突入してきた警官と鉢合わせになる。 任意同行を求める警察。 それに対して、バラライカはロックにこう告げる。 「ロック。 姫君にこう伝えろ。 ホテルモスクワは現刻を持って、一方的に戦闘を停止する。 お前が、根絶を望む鷲峰組は、既にバラバラになって地下に潜った。 お前が考えるより柔軟な考えをする小娘だぞ。 捕虜情報だと、組員はこう信じているらしいぞ。  ”やがて自分たちを誘い、ロワナプラに旗を揚げる”と・・・ よりによって、あのロワナプラにだ」 ロワナプラという言葉に、ロックの表情が固まる。 バラライカは、「迎えが来る。 道をあけろ、文民警官ども」と言い、警官を押しのける。  そして、バラライカの前に一台の車が止まる。 静止を求めようとしたが、その車は外ナンバー。 外交官身分に手出しは出来ない。 静かに、その車に乗り込むバラライカ。 その後すぐに、レヴィがバイクを着ける。 そのバイクに飛び乗るロック。  逃走するバイクに攪乱される警官。 「喚くな民兵! 用があるには、我々だろ? 雑魚ごときでゴタつくな。 それでは、ご機嫌よう。 御用がお有りの場合は、ロシア連邦一等書記官V・N・ワジリーノフまでお気軽に・・・」とバラライカが言うと車は走り去った。  そして、ようやく警察側の国際担当の専門家が到着した。 「間に合わなかったか・・・ どうして逮捕しなかったんですか? あれは、たいへんな大物だ。 ロシアに本拠を置き、チェチェンにも根があるマフィア組織・ホテルモスクワ。 ヤツは通称バラライカ。 ホテルモスクワの大幹部だ。」 

「時間がねぇ! 連絡は船からしろ!」とレヴィが、雪緒と連絡を取りたいというロックに言う。 バイクを港へ飛ばすレヴィ。 そのとき、交差点の出会い頭にバンと側面衝突をしてしまう。  道路に放り出されるロックとレヴィ。 そして、そのバンから雪緒と銀次が降りてきた。 「。。。雪緒ちゃん・・・」とロックが顔を上げると、雪緒は、持っていた銃をロックに向けて乱射する。 怯むロック。 そして、雪緒はロックに、船まで案内しろと要求した。 
拉致られたロックは、車の中で雪緒にロワナプラ云々に関して問いつめる。 しかし、雪緒は冷静に答える。 「バラライカのそんな言葉が、何の約束になると? 全ての約束を反故にし、裏切り、信義に唾を吐いたあの狂犬を、誰に信用するとおっしゃるのですか?  私と銀さんがここにいる限り鷲峰の看板もここにあり、決して地に堕ちたりはしていない。 わたしは、最初から夜の側に生まれ、夜の側に育った。 お忘れですか? 私たちは、ヤクザなのですよ」
その時、レヴィが乗っ取ったトラックが、バンを追い上げてきた。 港まで一気に走り突っ切りと、双方が車を降りた。 「ロック言っただろ! そいつは、生きる死人だ!」とレヴィが叫ぶ。  「聞けば、香砂会は内紛によって消滅したとのこと。 ですが、組の重鎮・若頭坂東を裏切り、非道に屠ったものはまだ生きている。 怨敵、ホテルモスクワが首魁バラライカ。 今日に生き仁を貫き、義に報いるが我らの誇り。」と雪緒が語る。  そして、静かに銀次とレヴィが間合いを取りながら歩き始めた。 一瞬の静けさの後、お互いに走り寄る。 レヴィの撃った弾が銀次を掠め、そしてそれを刃で切り落とす銀次。  「お嬢をここに連れてくるんじゃなかったな・・・ とどのつまり、俺たちは皆こうだ。 どこまで行ってもまともじゃねぇ・・・ 俺たちみたいなヤツじゃないといちゃ行けない場所だ・・・」と銀次が言う。 そして、握り手を返し、再び構える。  止めを刺そうと刀を振り下ろす祖瞬間に、銀次の脳裏に雪緒の言葉が過ぎる。 ”お囃子があって、お店が出てて、銀さんが居たら、それは、たぶん、楽しい・・・” その一瞬の躊躇いがスキを招いた。 「お前、生きようとしたな・・・」レヴィの弾が銀次を貫通した。 

「どうして・・・ こんなことになってしまったのでしょうね・・・」と雪緒が銀次の刀を手に取った。 「君の歪さは、こうあればと願う嘘で、自分を騙しきれないほど、頭が良すぎたことだ。」とロックが言う。  「11人。。。 サイコロを投げたあの夜から、自分の命で殺めてしまった人の数です。 醒めてしまった今となっては、遠すぎるんです。 あの土地は。。。 苦労をおかけしました。 これにて・・・」と雪緒が言うと、ロックに背を向け、 刃先を自らの喉に突き刺した。 喉に溜まった血溜まりから最後の空気が抜ける音とともに、雪緒は銀次の上に倒れる。 

成田空港でダッチと電話で話すロック。 「”人はサイコロと同じ。 自らをその人生へと投げ込む”と言ったフランス人を知っているか?」と尋ねるロック。 「ジャン=ポール・サルトル。 実存主義派の哲学者だ。 だが、俺にグッとくるのは、 ”3つの籠に5つの卵を詰め込むヤツには、早めに風穴を開けるべし”」

そして、ロワナプラに戻ったロックに、バラライカから写真の入ったの封書が届けられる。

人はサイコロと同じで、自らを人生の中へと投げ込む。<L'existentialime est un Humanisme>  ジャン=ポール・サルトル
L'homme est d'abord ce qui se jette vers un avenir, et ce qui est conscient de se projeter dans l'avenir.
<完>




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